投扇興
報告者:投扇連世話人 仲下尚治氏
江戸連では2009年から毎年6月堀切菖蒲園で投扇興を楽しむ会を開催、今年は第4回となった。
写真は今回優勝者の林繁樹さん
昨年8月、投扇興に魅せられた有志が投扇連を結成、4回の”投扇興を楽しみ技を磨く会”で練習を重ねて来た。今回はその成果を試す大会でもあった。
参加者は練習に参加してきた白石夫妻、仲下夫妻、新実、林、圓山、宮田さんに加え、投扇興は2回目の広瀬夫妻、松崎、村岡さん、初参加の坂本、宮川さん、撮影に駆けつけてくれた特別参加の長谷田さんの合計15名。くじ引きで対戦相手が決まりトーナメント試合のスタート。
1回戦で圓山、仲下夫人、新実、白石、仲下、宮川、林さんが2回戦に進む。2回戦では仲下夫人、新実、仲下、林さんがベスト8に駒を進める。仲下が3投目で「蓬生(よもぎう)35点」を叩き出したが、これは投げようとした矢先、携帯電話が鳴り出し、タイムをとって試合中断後、戻って来て投げたのがこの高得点に結びついた。中々出る技ではないので、皆からはあの電話は技のトリックか何かのカンニングがあったのではないかと疑われたが、正直者の仲下に幸運の女神の吐息がかかったのではないかと思われる。さっそく長谷田さんに撮影してもらう。(写真参照)
その後も無難に点数を重ね53点をゲット、今回の最高得点を記録。敗者復活戦では白石夫人、長谷田、坂本、松崎さんが勝ち残る。1、2回戦、敗者復活戦で勝ち残れなかったものの高得点を出した4名と敗者復活戦の勝ち残り4名で第2の敗者復活戦。勝ち残ったのは宮田、宮川、圓山、坂本さん。坂本さんは初参加にも関わらず12、17、12、20点と確実に調子を上げてくる。本大会では初参加の人が優勝するというジンクスがある。
ベスト8戦ではそのジンクスどおり、高得点の余韻が醒めない仲下を大差で下し、ひょっとしたらひょっとするかも?と思われた。しかし、強敵がいた。なんといつも風前の灯のごとく勝ち残っていた林さんである。
林さんは、やるときゃやる男、勝負師であった!1回戦は2対0で広瀬さんを下し、2回戦では松崎さんを1対0で辛くも逃げ切り、周りでは“もう後はないな”とささやかれながらも、強敵圓山さんとの第3回戦では、なんと、「浮舟30点」というウルトラC技を繰り出し止めを刺した。(写真参照)
それでも、今のはマグレかも?という思いを誰もが捨て切れない。めきめきと頭角を現す坂本さんとの準決勝では、これまた21対20という僅差でしぶとく勝ち残り、ついに決勝戦まで行き着いた。それを迎え撃つは実力どおりに勝ち進んできた新実さん。決勝戦は会場の貸しきり時間が迫ったため5投だけの真剣勝負。林さんは1投も当たらず0点!してやったりと、新実さんが投げた1投目の扇子は蝶に当り、「花散る里1点」、これで優勝決定。。。のはずであった。ところが新実さんはそれでは男が廃ると思ったか、プライドが許さなかったか最後の5投まで完投することを選んだ。しかし、なんと扇を台に打ち付ける「コツリ-1点」を2度も投げてしまった。またもや女神は林さんに微笑み、あろうことか「0対-1」という前代未聞の優勝者が誕生した瞬間だった。 これこそ投扇興の醍醐味、人生そのものだ。